お年寄りの方は、“ちょっと尻もちをついた、転んで手をついたら”など、日常生活のちょっとした事で骨折してしまい『入院、手術した』という話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
今回、なぜ骨折してしまうのか・どんな骨折が多いのか・どんな治療ができるのか、解説します。
◎なぜお年寄りの方は骨折してしまうのか?
年をとると骨粗鬆症(約1000万人いるといわれています)になりやすく、骨が弱くなり、転倒・しりもちをつくなど、ちょっとしたことでかんたんに骨折してしまいます。
◎骨折はどこに起こりやすい?
・脊椎(せきつい)圧迫(あっぱく)骨折(背中から腰にかけての背骨)
・橈(とう)骨(こつ)遠(えん)位端(いたん)骨折(手首の骨)
・上腕骨外科頚(じょうわんこつげかけい)骨折(肩の付け根)
・大腿骨(だいたいこつ)頚部(けいぶ)骨折(太ももの付け根)
◎どんな治療をするのか?
今回ケガをしてから回復までを、橈骨遠位端骨折を例にとって説明します。
お年寄りの方が転倒し、手をついた時に骨折するのが橈骨遠位端骨折です。
転倒した時は、痛みとともに手首のあたりが変形して腫れ、手首から指先に力が入りにくくなります。
レントゲン撮影をすると、骨がずれて骨折しているのがわかります。
治療は、ずれた骨をまっすぐに戻して(整復といいます)ギプスやあて木などで固定し骨がくっつくのを待ちます。4週間くらいで骨がつきます。(入院・手術の必要はありません)
固定を行うと手首・指関節の動きが極端に悪くなります。当院では指の運動を固定初期から行い、関節の動きの悪化を予防します。
固定除去後は関節の動き回復させるリハビリと、筋力を取り戻すリハビリを始めます。
◎最後に
骨折の治療で大切なことは、固定中は折れた部分の安静、固定除去後は、硬くなった関節の動きや筋力を回復させることです。リハビリは毎日継続して行います。そうすることで一日でも早くケガする前の状態に近づくでしょう。
皆様の参考の一助になれば幸いです。